基調講演

司会
お待たせをいたしました。
ただ今から基調講演に移らせていただきたいと思います。
地方分権が進む中、市町村に求められる役割は、これまで以上に大きくなっており、行財政基盤の充実が必要となっております。本日は、さまざまな立場からのご意見をいただきまして、皆さんとご一緒に、これからの乙訓地域のあり方について考えてまいりたいと思います。
はじめに、「これからのまちづくりと市町村合併」と題しまして、同志社大学大学院教授の新川達郎先生にご講演をいただきます。

  ご講演に先立ちまして、プロフィールを簡単にご紹介させていただきます。
新川先生は、早稲田大学第一文学部を卒業されまして、同大学大学院政治学研究科博士後期課程を修了されました。東北学院大学法学部助教授、東北大学大学院情報科学研究科助教授を歴任されまして、同志社大学大学院総合政策科学研究科教授に就任されております。京都市政策評議会会長、滋賀県新システム検討委員会委員も歴任をされておられます。
それでは、新川先生をお招きしたいと思います。拍手でお迎えください。

新川氏
ただ今ご紹介をいただきました新川でございます。本日は、よろしくお願いをいたします。  「乙訓地域のあり方を考えるシンポジウム」ということで、こういう場にお招きをいただきまして、本当に光栄に存じております。
これからのまちづくりを考えていくというときに、先ほど、主催の長岡京市長さん、あるいは市議会議長さんからもお話がございましたとおり、やはり広域的に物事を考えていく、その中で、この地域の将来というのを改めて位置づけ直してみる、具体的な将来像を描き出していく、そういう作業が必要になってこようかというふうに思っております。そういう観点から「これからのまちづくりと市町村合併」と題してお話をさせていただきます。
もちろん、今日、私がお話を申し上げるのは、まずは、この乙訓という地域で市町村合併ということを考えたときに、どんなまちづくりが将来可能になってくるのか、そんなようなところを中心にしてお話をしたいというふうに思っております。もちろん、この合併ということについては、いろいろご議論もありますし、あるいは広域行政ということについての必要性について、さまざまご批判も含めてご意見がおありというふうには思っておりますけれども、もう一方では、今、私たちが直面をしておりますさまざまな社会経済変化の中で、従来の行政の境界にこだわっていては、どうにもならないところまで来ているという、そういう現実も一方にはあります。その中で、どんなよりよい選択をしていくのか。そして、その選択の中で、いろいろ障害になる問題をどういうふうにして克服していけばいいのか。そうした観点から、今日はお話をさせていただきたいというふうに思っております。

さて、今、これからのまちづくりということを考えていくときに、どうして広域行政とか、あるいは市町村合併ということを考えていかなければならないのかということについて少しお話をしたいと思います。 やはり大きな前提として、これからまちづくりということを考えていったときに、今、まちの条件というのが随分変わってきているということにお気づきいただけるかと思います。
最近、この2市1町では消防の組合をおつくりになりました。本日も関係者の方がいらしているかもしれませんが、全国的に、ごくごく一般論で申し上げれば、やはりこの消防組織ということについて、本当にそれを単独の市町村で常備消防を維持していけるのか。これは昔から議論がありました。新しい消防法というのができまして、それ以来、近代的な機械消防を常備する。そして、従来の自治消防、それぞれの地域にありました消防団組織ではなくて、それぞれの自治体に常設をされる消防組織を置いていかれる。そういう大きな改革があり、そして、地域の安全というのが消防救急面で急速に充実をしてきたということがありました。しかしながら、もう一方では、こうした近代的な消防設備というのを維持し、その人材を維持し続けるということのためには非常に大きなコストがかかります。そして、従来から、この常備消防というのを維持するためにも広域的な対応というのがとられてきました。

この乙訓の地域ではそれまで、数年前までは、これをそれぞれ別の仕組みでやってこられたわけでありますが、平成13年にいよいよ、この乙訓2市1町で、この常備消防体制を整えられるということになりました。 ことほどいさように今、地域のさまざまな問題を解決し、そして、そのサービスの水準を維持していくということのために、こうした広域的な取り組み、そして、それが地域とのかかわりで、最適な広域の範囲で物事を考えていくということが大変重要になってきているということの証拠ではないかというふうに考えています。

どうしてこういう問題が広域的に解決をされていかなければならないのか、その背景には幾つかの理由があろうかと思っております。 一つは、やはり地域社会の構造そのものが大きく変わってきているという点であります。少子高齢社会ということが当たり前のように言われております。幸いなことに、この乙訓の地域は全国的に見ましても、まだ高齢化の進行具合というのは平均か、平均より少しまだ進んでいないといった程度です。そして、将来の人口の動向ということでも、比較的現在の人口規模をまだしばらくは維持できる、そういう地域ではあります。

全国的に見ますと、もう来年、再来年あたりからは、どんどんと人口減少社会に陥っていきます。この地域全体でも、この国勢調査レベルでいうと、この数回の調査では人口減少傾向に入っておりますけれども、まだまだ急激に減っていくというような状況ではなかろうというふうに判断しておりますが、全国的にはもう、これからどんどんと人がいなくなるという社会になってまいります。 そういう人口減少社会の中で、当然、社会のさまざまな活動というものも、それに対応して変わっていかざるを得ないということがあります。しかし、その一方では、こうした高齢社会の中で、どうしても地域の中で問題を解決していかなければならない問題、特に福祉であるとか保健、医療の問題は、これはやはり地域の中でしっかりと支えをしていかないといけない、そういう分野として残り続けるわけであります。そういう活動を本当にずっと続けていくということが、この地域の中でできるかどうか。できなければ、これは府や国のお世話にならざるを得ないということでありますし、それはもう地域の自治の問題でも何でもなくなってしまうということになるわけでありますが、少なくともこれまで、この2市1町の地域では、自分たちの手で自分たちの力で、この地域を支え、そして、さまざまな福祉施策を展開され、健康問題を地域で考え、これまでのサービスを組み立ててこられたということがございました。そうしたこの地域のあり方というのをどうやって今後、将来も続けていくのか。そして、地域の問題は地域の水準で、地域の方々と一緒に考え、つくり上げていく、そんな地域をどうやって続けていくことができるのか。

よく環境の問題で持続可能性ということを強調します。持続可能な地域というのをつくり出していく、これは環境上のバランスでよく、そういう持続可能性ということを言うわけでありますが、むしろ地域社会それ自体に即して言えば、地域が地域を支えていくことができる、そうした福祉や保健あるいは医療の体制を持ち続けることができるかどうかというのも、この持続可能な地域というのをつくり続けるための重要な条件ではないかというふうに考えています。

同時に地域社会は、先ほど申し上げた人口減少や、あるいは福祉の重荷ということも含めまして、今、大変な財政危機に陥っています。これは別に特定の、この地域だけの問題ではなくて、日本全体の財政問題でもありますし、地球大で言えば、先進諸国の多くが直面をしている問題でもあります。その中でも、とりわけ日本は、この10数年の間、バブル崩壊以降の極めて放漫な財政運営のおかげで、とんでもない危機に直面をしているわけであります。この点についてはもう、いろんな場面で言われておりますので、これ以上強調することはいたしませんけれども、そうした財政運営というのをもう一度規律正しく、本来の財政のあり方に引き戻していく。そして、もう一方では、経済成長というのがとまって、右肩上がりの状況から、むしろ右肩下がりを前提にしたような極めて低い成長率の中で、経済社会の運営を考えていく。その中での財政運営というのを考えていく。そういう時代に変わってきたのだということを認識しなければなりません。

もちろん、やや増税をすればいいではないですかという方もおありかもしれませんが、税金を取ることで社会全体がさらに疲弊をしてしまうようでは、これはもう国家としても、地域としても、社会全体が成り立っていかないということになります。今、私たちは、そういう非常に危ういバランスに直面をしようとして、行政というものを一方では支え、適切なサービスを行政から引き出しつつ、もう一方では、経済社会も維持していかなければならない、そういう非常に微妙なバランスをとらなければならない状況に来ています。  そうした状況の中で、実は、それぞれの地域がそうしたバランス、つまり公的なサービスと、そして、経済社会あるいは市民生活というものを守っていくということとの関係で、それぞれの地域の活力をもう一方では維持しつつ、もう一方では一人一人の必要なサービスを公的にも、そして、マーケットのサービスとしても十分に提供できるような体制にしていく、そういう課題を突きつけられているというふうに考えていただければいいかと思います。

いささかややこしい言い方をしておりますけれども、要するに、今、大変な財政危機というのに一方では直面して、そして、社会のありようも変わってきている。その中で、じゃあ、この地域で一体どういうふうな将来像を描いていけばいいのか、そういう問題に直面をしているということであります。そして、それに対する答の一つが多分、広域行政とか市町村合併ということにあるのではないかということであります。 従いまして、よく言われておりますように、この市町村合併とか広域化ということは、別に、それ自体をやっていくことが目的でも何でもありません。ご批判をされる方の中には、今、国がたいへん合併に向けて音頭取りをしておられ、そして、京都府も一生懸命この合併の推進をしておられるということがあって、合併自体が目的で、しかも合併をしてもらえば国や府の財政負担が減るので、そうしたいのだろうなどというような、そういう言い方をされる方もあります。部分的には当たっています。確かに合併をしていただければ、トータルには、いずれ国や、あるいは府の負担というのが減っていくということは、これは間違いがないところですので、その場面だけで言えば、ご指摘のとおりであります。

しかし、それは広域行政とか市町村合併の本来の意味とか位置づけというのを見誤ってしまっているということにならないかと思っております。と申しますのも、先ほど申し上げましたように、あくまでも、それぞれの地域が将来どんなまちの姿、どういうそのまちでの行政のあり方、公共サービスのあり方を考えていくのかというのがまず第一でありまして、そのためにどんな手だて、手段があるのかということを考えたときに、今、私たちの前には合併、あるいは広域行政という手段があるというふうに考えていくのが話の筋でありまして、まさに合併というのは、そうした手段の一つであるというふうに考えていただければいいわけであります。

その意味で、この合併というのをまちづくりの手段だというふうに考えていただければ、逆に、こうした合併の議論をされるときに一番大事なのは、やっぱりこの合併を通じてどんな将来像、どんな地域の未来の姿というのを描き出せるかというところにかかってくるわけですし、そうした将来の地域の姿を実現していく手だてとして合併がどこまでうまく使いこなせるかということが、この議論のポイントになってくると、そんなふうに考えていただければいいのではないかと思っております。 さて、もう少し詳しく、こうしたまちづくりの変化とか、その背景にある事情とかということについてお話をすることで、今、市町村合併というのがなぜ、これほど大きく議論されなければならないのかということについて、多少ご理解を深めていただければというふうに思います。

これからのまちというのを考えていったときに、既にある今のまちそのもののつくりとか、ここで暮らしておられる皆さん方の活動、行動というのが大きく変化をしてきているということは指摘を申し上げるまでもないところであります。この乙訓というところで考えていただきましても、向日、長岡京、大山崎のこの3市町の行政上の境界というのも市民の皆さん方、町民の皆様方が日常どれほど気にして生活をしておられるのか。それぞれ市民あるいは町民としての意識というのが心の片隅のどっかにあったとしても、別に買い物に行くにしても、あるいは通勤・通学先にしましても、このまちの境界というのを気にされるという方は、ほとんどいらっしゃらないのではないかというふうに思っています。市民の活動空間とか行動空間、町民の皆様方の行動の範囲というのは明らかに、その生活空間自体が大きく広がってきているということがあります。  そして、実は、それが意味しておりますのは、生活をしていく上で必要ないろんなサービス、これは公共サービスも、それから、民間のマーケット、市場のサービスも含めてでありますが、生活上必要ないろんなものを手に入れていくということのためには、一つの町、一つの市では足りないということがはっきりしてきているということであります。さまざまな都市の役割、機能というのを、それは文化であれ、教育であれ、医療であれ、あるいは日常の買い物であれ、何にしても、そうしたさまざまな都市の機能というのを手に入れる、そうしたサービスを享受していくということのためには、自分の町、自分の市、その範囲だけで閉じこもってというようなことは今とても考えられないという、そういう時代になってきているということでもあります。  加えて、じゃあ、これからそうした市民の皆さん方のニーズ、必要性というのを満たしていくということを考えていったときに、単独に、例えば長岡京市が、それではフルセットで、この市内に市民の皆さんが必要とするすべてのサービス、機能というのを全部ここで整えてしまいましょうということができるかどうかということであります。恐らく、過去、右肩上がり、経済成長が続いていて、税金がどんどん毎年毎年増えていくという時代には、いずれそういうこともできるかもしれないということで、どんどんといろんなサービスの提供を拡大していくということをしてこられた、そういう経過があったかと思います。

そして、いまだに将来は必ずそうなってくれると思って、いまだに期待をしておられたり、あるいは、まだその方向で走り続けておられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、先ほど申し上げましたように、既に資源制約、財政危機というのは明らかであります。市民の皆さん方の負担感からすれば、これ以上の国民負担、住民負担というのを増やしていくような方向というのは、今のところは、どう考えても難しいだろうというふうに思っております。  そうすると勢い手持ちの資源の中で、それを最大限効率化をしていくということしか、今の行き詰まり状況を打開していく方法はないわけであります。しかし、所詮限りのある資源ですから、そこでやられることというのは限られている。そうすると今やっていることをリストラしながら、新しいことをやっていかざるを得ない。しかし、もう一方では、これまでやってきていることで要らないものというのは、そうはないわけであります。したがって、現状を改革していくということのためには、やはり何がしか抜本的な手段、つまり全体としてもっとリストラ効果を上げていくようなやり方というのを考えていかざるを得ないということでもあります。そうしたさまざまな資源制約、経済危機・財政危機というのを乗り越え、なお、これからのまちづくりというのを進めていく手法として、やはり合併ということは、これは検討の価値のある方法であると、こんなふうに考えていただければいいかと思います。

加えて、今、日本の国・地方を通じての行政の仕組みというのが大きく変わりつつあります。皆さん方もよくご承知のとおり、地方分権というのがそうであります。今から10年ほど前に地方分権推進法という法律ができ、そして、地方分権改革というのが平成12年の4月から分権一括法という法律の施行という形で始まりました。これ自体の評価はまたいろいろありますけれども、少なくとも、これからの地域社会が私たちの暮らしを支える主たる担い手であって、その地域の問題については、身近な地方自治体がその企画、実施を含めて総合的に対処をするというのが、これからの考え方であります。  地域社会というのをむしろ日本社会をつくっていく大元と考え、そして、その中でできるだけ、その地域の中で最適に運営をしていただくということを、この分権社会をつくっていこうとするときに、今多くの方々が考え始め、感じ始めてきているということであります。もちろん、そんなに単純に、これまでの中央集権国家が大きく変わってしまうなどというふうに考えているわけではありませんけれども、今、世の中を挙げて、そういう方向に向かい始めているというふうに考えていただいてよろしいかと思います。

具体的に、もう皆さん方もよくご承知の方がいらっしゃると思いますが、昨年の11月の末に政府与党が、いわゆる三位一体の改革ということについて基本的な合意に達しました。およそ2兆8,000億円ほどの補助金、国から地方への補助金を削減し、そして、それにかえて2兆4,000億円ほどの、これは所得税の譲与税の形になりますが、地方に財源として分配をしていくということが、暫定的ではありますが決まりました。このまま国の予算が成立すれば、地方の補助金というのは、かなりの程度切込みがされ、そして、それにかえて一般財源がやってくるという格好になります。もちろん個々の市町村にまで、その影響が行きわたる部分については、それぞれの地域の差ということもありますし、また、府県が担われるところも多いので、直接市町村に影響が何もかもやってくるというわけではありませんけれども、少なくとも今そういう改革が進みつつある。

特徴は、今お話をしたとおりでありまして、要するに国から財政資金というのは流れなくなる。そのかわりに一般財源としてのお金、つまり地域の判断でお使いになれるお金が地域のものになっていく。ただし、そのときに相当目減りはしますよと、こういうことであります。要するに限られた財源を、しかし、自由に使えるので、あとは工夫してちゃんと使ってくださいというわけであります。 そういう分権型の仕組みというのがこれからいよいよ本格的に、いろんな場面で動き始める。逆に言うと、その分権に耐えられるだけの地域の運営ということをこれからはやっていかないといけないということであります。地方分権改革は、その当初から地方自治の体制強化、つまり分権を担うことのできるような自治体づくりということを、かなり強く訴えてこられていたということが実はありました。一時、これを分権の受け皿論というふうに呼んでいて、地方の側から大変ご批判をいただいたということがありました。地方は受け皿などではなくて、もっと主体的に活動をする自治団体であるということで、受け皿とは何事かというご議論でありました。  それ位の気概を持って、地域というのがこれからの社会のあり方ということについて責任を持ち、そして、積極的に動いていかなければならない。そういう状況が今生まれ始めているのだというふうに理解をしていただいてもいいんだろうということであります。まさに、そうした地域づくりの担い手、主体というものをつくっていく、あるいは、これまでのあり方を一歩踏み越えて、より高いレベルでつくり直していくということを考えなければならない。そういう状況にあるのだろうということであります。 そして、その点で最初にお話をいたしましたように、持続可能な社会というのをつくり出し、そして、地域の将来というのを考えていく。そういう手だてとして、この広域的な行政のあり方とか、あるいは市町村合併ということを真剣に考えていくことが重要になってきているということでもあります。こうした意味での市町村の合併の議論というのは、もうこの10年で進んでまいりました。ご承知のとおり、この合併の特例法というのは昭和40年ぐらいからずっと続けて、時限法ですので大体時期が来ると改定をされるということで、これまでやってきておりますが、特に、やはり2000年の地方分権一括法のときに一緒に改正をされましたこの合併特例法というのは、やはり地方分権を進めていくその中で、それぞれの地域がもっともっと実力をつけていただく。そのためにも合併が必要だという認識で、非常に手厚い合併推進策というのをとってこられたということで大きな特徴がありました。

その後、若干の改正もありまして、本年の3月、もうすぐでありますが、来月いっぱいまでに合併をするぞということを、それぞれ議会で議決をされたところについては、この合併に伴いますさまざまな恩典というのがつくことになっております。例えば、その有名な合併特例債であります。当地域で言いましても、やはり400億程度の、全部使えばということでありますが、それぐらいの合併特例債というのを発行して、合併に伴います一体化のための事業、これは基盤整備を中心にして、新しい事業ができるという可能性はございます。それから、交付税の特例も、これはやや後ろ向きな話ではありますけれども、2市1町の現在の交付税の算定基礎というのを10年間は変えませんよというような、そういう特典もあったわけであります。

もちろん現時点で、この乙訓の地域で、合併などというのは、まだまだ議論として始まったばかりということでありましょうから、今すぐこうした制度が云々ということではありませんが、少なくとも、こうした非常に強力な推進策というのがとられてきたということは国の決意のほども、そして、国民的な視点という観点からも、もう一度強く認識をしておく必要があるだろうというふうに考えております。 その後、今年度ですか、昨年16年には改正も加えられまして、この春からは、また新しい合併特例法というのがさらに5年間続くことになってございます。今回の改正の中で幾つか重要な改革がございました。それは地方自治法の改正も伴ってのことでございますけれども、今さまざまな外的な条件、そして、国の推進策によりまして合併が進みつつあるということもありまして、もう一方では、そうした合併に対するさまざまな懸念を払拭していこうということで、実は、自治法の改正、そして、合併特例法の改正の中で非常に重要な改革が盛り込まれました。  それは、合併前の旧の市町村の区域に合併特例区、あるいは地域自治区といったようなものを設けることができるような仕組みをつくり上げたことでございました。 合併特例区というのは、合併後も旧の市町村の単位に法人格を持った地域組織を置き、そして、地域の中でのさまざまな問題を独自に処理をしていけるような、そういう団体をつくっておこうという、そういう仕組みであります。確かに旧の市町村はなくなりますけれども、その機能の一部を残しておいて、しばらくは、その地域の自主性、自立性というのを考えていこうということであります。ただし、これは時限つきでありますので、いずれは、そうした法人格はなくなってしまいます。

そこで、もう一つの地域自治区という考え方を導入いたしました。この地域自治区の方は、行政区というような位置づけではありますけれども、例えば京都市の各区、伏見区でもどこでもよろしいわけですが、ああいう行政区の単位のようなものが市内にできるというふうにお考えいただければよろしいかと思います。こちらの方は、ずっと置いておける制度になってございますので、むしろそれぞれの地域が自主的に地域づくりをしていかれる。もちろん行政の範囲内ではありますけれども、市民参加の受け皿にそこがなっていく。そんなような行政区の考え方というのが、この地域自治区の制度として法定をされました。ある意味では、それぞれの地域が持っておられるさまざまなニーズに応え、そして、地域の独自性を発揮するチャンスというのをちゃんと確保しておこうと、こんなような改革でもあったわけであります。いずれにいたしましても、こういう一連の法制度改革、そして、この3月の合併特例の、非常に有利な条件の期限ということを迎えて、今、全国では、合併に向けての非常に大きな動きが進んでいるということでございます。  市町村合併、このまま行ってしまいますと、恐らく来年の今ごろ、1,800から1,900ぐらいの市町村数になっているだろうというふうに予想をされています。もちろん、そんなにうまくいくかどうか、まだまだ不透明なところもありますし、この3月の合併を目前にして、議会の解散であるとか、町長さんの選挙であるとか、あるいは合併をめぐる住民投票であるとか、いろんな動きが出てきております。おもしろいのは両方の動きがありまして、合併の賛成をされたところについて、そうした議会や町長さんのリコールというのが一方で起こっている、その反対に今度は、合併の議案を否決をされた議会に対して解散の請求や住民投票の請求が来ているというふうな、そんな自治体もあって、これはなかなか玉虫色でおもしろいなあと思いながら、全国を見ているところもあります。いずれにいたしましても、それぞれの地域で、この合併に向けてのいろんな動きが出てきている、そういう状況でもあります。

さて、そうは言いましても、この今の状況のような駆け込み型でとにかくやってしまえというのも、これも問題がないわけではないというふうには思っております。やはり合併というような問題は目先、国の財政支援があるからということでやるような性質のものとは少し違うだろうというふうには思っております。少なくとも次の世代に、それぞれの町をどんな形でお渡しできるかということを考えていく、30年先と考えていただければいいんだろうと思いますが、そういうスパンで物事を考えていく。そのために向こう何年間か、どんなまちづくりをしていくのかというのが重要だというふうに思っております。  当地域の場合も、考えていただきますと今から30年、40年ほど前に、既に合併の議論が出て、そして、そのころの進まなかった状況というのが、ずっとそのまま引きずられてきて、ご議論はあったようでありますけれども、暗礁に乗り上げて今日まで来ておられるということは聞いております。むしろ合併の議論というのは、そこまで時間かけることかと言われると、それもなあという感じもありますけれども、もう一方では、やはり、じっくり議論をし、そして、地域の中でよりより方向を皆さんでつくり上げていく、一緒に考えていく、そんなようなプロセスが大事だろうというふうに考えております。その意味では単なる駆け込みでない合併の仕方、あるいは将来の展望の立て方ということをぜひ、よい機会でもありますので、皆様方にはお考えいただければというふうにも思っております。

さて、そうは言いましても、やはり当面、当地域でも、これからのまちづくりということに向けて考えていかなければならない論点というのは当然あろうかと思います。そして、その多くは、これまで何十年間か、この地域が想定をしておられた問題とは相当質が違ってきていて、別の観点で、別の視点で考えていかざるを得ないという、そういう側面があるというふうに考えておりまして、そういう論点を幾つかお話をしてみたいというふうに思います。  1つは、やはり分権改革ということを踏まえて、これからの地域づくりがそれぞれの地域の自主的な活動、自主的な決定ということに大きくゆだねられてきているという点でございます。つまり、これは分権推進委員会というところの勧告の中で何度も使われた言葉でありますが、自己決定と自己責任という言葉が盛んに使われました。そして、これは国の法令、あるいは、さまざまな計画の中でも、今や常套句のようにして使われるということになってきております。それが何を意味しているのかということであります。要するに、これからのそれぞれの市町村の区域については、それぞれの市町村が自ら決め、自ら責任を持ってまちづくりをしてくださいということを言っているわけであります。

つまるところ、これまでのように全国一律に国が号令をかけ、お金を出し、手だてを尽くして、それぞれの地域を何とかしてあげましょうというような、そういう国による地域づくりではなくて、それぞれの地域が自分の負担で、自分の責任で、自分で決めてやってくださいということになってきたということであります。従って、逆に言うと、地域が、その自分たちのそれぞれの状況に合わせて将来を考え、自分たちで選び取っていくということをしなければならなくなってきたということであります。いや、そうは言うけれども、いまだにいろんな補助金だとか国の規制・基準だとかがあって、なかなか思うには任せません、補助がなければ、やっぱり事業はできませんよというふうにおっしゃられる。それはそのとおりでありまして、確かに、そういう側面も多くの行政分野で残るということは確かであります。

しかし、もう一方では、そうした補助の仕組み自体が今、大きくさま変わりをしようとしております。公共事業の補助で言えば複数年度にわたって、しかもメニュー方式でそれぞれの地域が自ら選び取って事業を展開していくという、そういうことがもう既に、部分的にではありますが導入されようとし始めております。国交省関係の補助金は大きくこれから変わるだろうというふうに考えていただいてよろしいかと思います。社会保障、福祉関係で言えば、全体として圧縮傾向というのが非常に強くなるということも、これも当然そのとおりだというふうに考えていただいていいと思いますし、負担金的なものを除けば、負担金自体も今は縮小されようとしておりますが、義務的に国として分担をすべきお金ですら今縮小をしようという、そして、それに加えて政策的な奨励的な補助金というのは、どんどんなくなるということを考えていったときに、確かに、この数年で、そんなに自由になるというわけではありませんし、そんなに選択を迫られるということはないと言われれば、それはそのとおりでありますが、むしろ、そこから先、この地域をどう考えていくのかということの選択は、どんどんと地域の責任として広がっていくという、そういう状況を想定しなければならないということであります。その点では、行財政の諸権限というのが市町村に集中をされ、そして、そこが、自らの資源を自らの政策に従って選択的に集中をしていって、効率よく政策目標を実現をしていくということを考えていかなければならないということでもあります。

重要な2つ目は、そうした地域での行財政の能力というのが十分にあるのかどうかということを、自ら把握をしておくということが大事だろうということであります。もちろん国の制度、そして、地域の経済力、総合力を勘案して、自分自身の地域が本当にこれからのまちづくりに耐えられるような、そういう活動のできる力があるかどうか、そういう見通しが立つかどうかということを、きちんとチェックをしていかないといけないということであります。先ほど、自己決定、自己責任ということを申し上げましたけれども、そういうことができるような地域であるかどうかということを自ら判断をしていくというのも、これは重要なこれからのまちづくりのポイントになってくるというふうに考えております。  そして、その際に、関連をいたしますけれども、3つ目の重要なポイントは、やはりそうやって自分自身の現状というのを冷静に見ていったときに、本当に自分たちのまちでできること、そして、もっと小さくてもできることというのが当然わかってくる、見えてくるというところはあるだろうと思います。しかし、もう一方では、このままやっていては、じり貧になってしまう、どうにも身動きがとれなくなるなどというような分野は多ございます。 ほかのところの例で恐縮でありますけれども、あるまちで診療所をお持ちになっていて、これはかつての経済成長、そして、大きな財政収入に支えられた施設で、それなりに充実した医療をしておられました。しかし、この数年間で急速に財政が悪化し、そして、お医者さんを配置することすら満足にできず派遣をお願いをする、他の大病院のご協力をお願いするといったような事態に陥り、医療サービスそのものも落としていかざるを得ない。毎年、何億円もの一般財源からの持ち出しを強いられると、そういう状況になったときに果たして、これから先々、地域の医療をどうしていくのかということをお考えになったときに、それをどう選択していかれるのか。医療は中心で大事で、しかも、その小さな単位で身近にやった方がいいから、そのために町のあらゆる資源を医療に振り向けるということができるかどうか、その選択が可能かどうかということが、そこでは問われてきたわけであります。 結論ははっきりしていまして近隣の大きな都市との合併、そして、その市民病院との統合による再編成をお選びになるということになったわけでありますが、これは医療という側面に即してだけでありますので、何もかもそれが該当するわけではありませんけれども、少なくとも、そうした何が今の状態でできるのか、そして、先々何ができなくなるのか、そのときどんな解決方法があるのかということを厳しく考えておかなければならない。そういうような状況があるのだろうということであります。

  最後に、やや行政的な側面に偏りますけれども、こうしたこれからのまちづくりということを考えていく上で、やはり地域の自主性とか自立性というのを目指していかなければならないということ。その一方では、そこで用いることのできるさまざまな行財政上の権限や能力、資源、こういったようなものを最大限、合理的・効率的に使っていく、こういう視点が大事だろうというふうに思っております。その意味では、行政の質というのをどこまで上げられるかということで、従来のような量でもって右肩上がりでしたから増やせば、とりあえず増やしていけば、みんなの満足度が上がるということで、いろんなサービスの量を増やすことに専念をしてきましたけれども、社会全体が縮小するわけでありますから、その縮小に見合って、しかし、もう一方では、より満足度のいくサービスというのを提供するとすれば、量から質への転換というのは、これは当然の方向として起こってくるということだろうと思います。
いや、もちろん、いまだにその量的な不足がありますよ、というふうにおっしゃる方はあります。確かに、場面場面、部門部門ごとに見ると、まだまだニーズに対して供給が十分ではないような分野というのが見受けられるということも確かにあります。しかし、それは社会全体のバランスで見れば、今のところは、もう既に供給過剰に陥っている場面の方がはるかに多いわけでありまして、供給サイドの資源配分を変えていくということで考えていきましても、はるかに供給過剰の状態、それに対して、それをどう上手に整理し、合理化し、そして、全体としてのサービスの質を上げつつ、足りなかったところに再分配をしていくのかということを考えていかなければならないということでもあります。 さて、こういうふうにこれからのまちづくりのポイントを、やや行政的な観点ではありますが考えていったときに、やはりこれからの広域行政ということを進め、その中で実現をしていかなければならない、そういう重要なまちづくりのポイントのようなことが出てくるように思っております。やや当地域にとりましては、ずっと先の話になるかもしれませんけれども、何とか合併ということを実現されたときに、その合併の効果をどう生かすかというような、そういうところに注目しながら、最後にまとめにかえてお話をさせていただきたいというふうに思います。

こうした合併とか広域化で可能になる一番大きなメリットに属するものは、やはり合併によりまして経済的な合理性とか効率性というのを追求できるということにあります。一番わかりやすいのは規模の経済ということだろうと思います。小さいロットで、そこにフルセットで管理し、実行する組織があるよりは、大きい単位で、そこに統一的な単独の管理組織を置いておく方が、間接費自体は安くなるという問題であります。特に、今のように交通・通信手段が発達した状況では、規模の経済というのを生かしていけるチャンスというのがどんどん大きくなっていくというふうに考えていいだろうと思います。

もちろん、そうやって規模を大きくして、しかし、サービスの質が落ちてしまったというのでは、これは話にも何にもなりません。安い値段で、しかし、質を落とさないで、まちづくりができるかどうか。場合によっては、部分的には、もっといいまちづくりができるかどうかというのがポイントでありまして、その意味では今後やはり、さまざまなサービスをどう組み立て直していくのか、あるいは、その先に新しい合併後のまちづくりの計画というのをお作りになるということが、これはまだ仮想の話でありますが、あるとすれば、その計画そのものがどれぐらい、そうした経済合理性というのに見合った計画になっているかというのが重要なポイントで、それによって広域化合併の効果を生かせるかどうかというのも大きく左右をされるというふうに申し上げておきたいと思います。

2つ目のポイントは、やはり市民の皆さん方、町民の皆様方の生活圏域の広がりや、おつき合いの範囲の広がり、こういうものに対応したまちのつくりということを考えていくという点であります。従来はそれぞれの市・町で、ある意味では単独で、さまざまな施策を独自におやりになるということでありました。しかし、市民生活からすると、もう既にこの2市1町の範囲というのは、基礎的な生活圏でありまして、日常の行動は京都市から大阪市まで恐らく広がっておられる、あるいは、もっと周辺の地域に広がっておられるということだろうと思います。そうすると、それを視野に入れたこの2市1町の都市計画とか交通計画というのがあってもいいと、こういうことになるんだろうということであります。そういう広域的な観点を持った将来のまちづくりが展望できるかどうかで、この合併の構図というのは、大きくその価値、成果というのを左右されるであろうということであります。 

  重要な3つ目は、しかし、仮に広域化合併をするとしても基礎的な自治体であります。市町村というのは住民に最も身近な自治体でありますし、そして、その住民の皆さん方のニーズというものに応えて、そのサービスというのを提供していく、そういう存在であります。従いまして、大きくなろうが小さかろうが、やはり市民、町民の皆様方の意向というのを踏まえ、町民の皆様方とご一緒に地域づくりをしていくということが基本になります。住民のニーズというものに応えていけるような、そうした地域づくりというのができるかどうかということでありますし、そのニーズに応えられるような、より高度で専門的なサービスが提供できるかどうか、ということが将来の合併に際しての、いわば判断材料ということになるのではないかと考えております。

大きな4つ目は、そうした地域づくりということを考えていくときに、やはり行政の体制として、さまざまな諸問題に対応できるような政策の力、政策をつくったり実行していったりする力があるかどうか。そして、トータルにこうした政策的な方向でまちを動かしていけるような、そうしたマネジメントといいますか、自治体経営の能力があるかどうかということが問われておるということでもあります。政策の資源を集中し、そして、その経営というのを政策中心に動かしていくというようなことができるかどうかというのが、これからの都市の運営、市・町のそれぞれの運営に当たって考慮をされなければなりませんし、さらに、それを合併を通じて、より高度な能力を発揮させるような体制ができるかどうかというのが、この広域化合併に向けての大きな課題ということになるのだろうというふうに思っております。
もちろん、そうは言いましても、こうした合併広域化、さまざまなご批判をいただいているところもあります。そういう声にどういうふうに応えていくのかということも重要だろうということは感じております。 先ほどの話と裏腹になりますけれども、やはり住民の皆さん方があくまでも、この地域づくりの主役であります。市民、町民の方々の声というのを具体的に反映できるような、そうした行政の仕組みというのを意識的に、やはりつくり出していく必要があろうかと思います。いや、今の2市1町でも、よく市民の皆さん方の声、町民の皆さん方の声を聞いて運営をしておりますと、きっとおっしゃるだろうと思いますけれども、それをさらに半歩一歩進めていく、そういう努力が恐らく、これからのまちづくりには必要でしょうし、そういう方向でまちを変えていくチャンスとしても、この合併というのを考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。

  いろんな問題の対応の2つ目のポイントは、やはりサービスの質と量、つまり必要な量が確保されなければなりませんし、そのサービスの水準というのが確保されなければならないということがあります。とりわけ合併に際しては、身近にきめ細やかなサービス提供ができなくなるだろうというふうに、ご批判がよくあります。ですから、私は京都市民ですが、京都市というのは150万近くの人口がありますので、身近できめ細やかな行政サービスがないところだということになります。あんまり市民の中からそういう批判も出ておりませんので、きっとそういう議論は成り立たないのだろうなあと単純に思っているのですが、しかし、現状、身近な自治体をお持ちのところで、小規模な人口のところで、そういうご心配があるのは、よく理解ができるように思います。ある意味ではサービスの質・量、そして、住民の方々へのきちんとした対応というのができるかどうかというのがポイントでありまして、その対応の速度とか、あるいは対応の内容というのが問われるし、それはやはりどんなレベル、どんな規模であれ、すべての自治体に共通の課題というふうに考えている次第であります。

3つ目の問題は、これは、やや深刻であります。従来の地域の歴史とか文化、生活の積み重ね、蓄積ということがあります。そして、それらは従来の町の枠組み、あるいは市の枠組みということがあってでき上がっているということがあります。それが消えてしまうということを考えたときに、やはりまちづくりというものの、どんな理由をつけるといたしましても、本来の姿から外れてしまったまちづくりになってしまうんじゃないかという危惧は、多くの方々がお持ちになる可能性はあります。その意味では、最後、こうした合併の議論をしているときに、行き着くところの重要な反対のポイントは、やはり地域に対する愛着、昔からの町の名前、その名前ということを通じて、それが代表をしている地域の文化であるとか、生活であるとかというものに対する強い思い、それがやはり合併をさせない非常に大きな力になっています。そして、それはやはり合併をしてしまえば、当然に消えていく可能性が高いものというふうに考えていいだろうと思っています。

ただ、私、そうした感情、感覚というものは当然理由のあるものだというふうに思っておりますけれども、もう一方では、じゃあ本当にそういう地域の文化とか伝統というのをこれまで大事にしてこられたかどうか、そして、それが本当に今のまちに着々と息づき、根づいているのかということは、少し真剣に考えていただきたいというふうに思っています。そして、合併というまちづくりの枠組みが変化をすることで本当に何がなくなり、何を残していかなければならないのか、という議論がされてきているかというと、どうも感情的な議論だけで、それがされてきてしまっているような印象を持っております。その意味では、本当にこの地域、まちの資源、大事にしないといけないものというのを改めて洗い直し、認識をし直し、そして、合併を通じて何ができて、何ができないのかということは、もう一度考えておく必要があると思いますし、そのための議論というのが逆に、合併も含めた将来のまちづくりを考えていく時の重要なポイントになるのではないかというふうに考えています。 

いずれにいたしましても、こうした合併広域化の話をどういたしましょうとも、それはそれぞれの地域が元気に暮らしていく、お一人お一人の市民の皆さん方、住民の皆様方がよりよい生活を、しかも、地域の中でより高いレベルのサービスとともに暮らしていけるような、そんな社会が実現できるかどうかということにかかっています。バラ色の未来はありませんけれども、少なくとも現状を多少なりとも改善し、そして、むだを減らし、より適切な生き方をしていく。それは物質的には豊かではないかもしれませんけれども、次の世代にきちんといいまち、いい暮らし方、いい環境を残していけるような、そういう暮らし方をつくっていく。それはやっぱりまちそのものが元気でないといけませんし、そこで暮らしておられる方々が皆さん、活発に地域での活動をしている、経済生活であれ、社会生活であれ、充実した暮らしをしておられる、そんなような地域をつくっていく。そして、それを支えられるような地域の行政体制をつくっていけるかどうか、というのがポイントだというふうに思っております。

そうした観点から、一方では身近な地域づくりということを考え、しかも、もう一方では、それを支えることができるだけの行政資源、財政資源というのを供給できるような体制、また、そこで支援に必要なさまざまな最低限度のサービス、セーフティネットというふうに呼んでおりますが、そうした地域で、すべての人が少なくとも共通の出発点に立って、その社会の活動に参加できるような、そういう共通の安全網をつくれるような、そんな自治体づくりというのを考えていく。その上に立って豊かな地域、あんまり物の面では豊かになりそうにありませんが、少なくとも心や活動の面、隣近所づき合いという点では豊かな社会を、そんな社会を目指して、この合併や広域化ということをぜひご検討いただければというふうに考えております。 おおよそ予定しておりました時間になりました。私の話は、以上にさせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。

司会
ありがとうございました。基調講演をしていただきました新川先生でした。後ほどまたパネルディスカッションでもお世話になると思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、ただ今から休憩に移らせていただきます。パネルディスカッションは、2時55分から始めさせていただきます。なお、質問がございましたら、休憩の時間内に受付までお出しいただきますよう、よろしくお願いいたします。  それでは、ただ今から15分、休憩をとらせていただきます。

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更新日:2017年03月01日