消防署体験を実施しました

今年度から新しくスタートした青少年健全育成事業「防災体験教室」の第3回活動である「消防署体験」を、12月20日に実施しました。

今回の活動では、普段からなじみの深い乙訓消防組合大山崎消防署・同消防組合長岡京消防署の皆さんの全面的なご協力のもと、施設の見学や体験学習をしました。現場経験を積んだ隊員の皆さんの指導に参加者は熱心に聞き入っており、本格的な体験学習となりました。

以下、簡単ですが活動の様子をご紹介します。

道具から学ぶ消防署

 消防署には、消火活動や救急活動に使うさまざまな道具があります。火から体を守る防火服、消火活動で不可欠な放水銃、車や玄関のドアを切るためのエンジンカッターなど、どれも命を助けるための大切な道具です。これらの道具を学ぶことで、消防署の仕事が見えてきます。ここでは一部ですが、その様子をご紹介します。

参加者が実際に防護マスクや空気ボンベを持たせてもらうと、「重い」といった感想が多く聞かれました。火災現場では防火服を着た上からマスクとボンベを着用して消火活動を行うので、すべて合わせると20キログラム程になるので、消防士の方でも汗だくになるそうです。

また、煙の中では自分の手先さえも見にくいという話に、参加した皆さんも驚いていました。

防護マスクをつける参加者

消火活動で使用する放水銃は、家庭用のホースよりもずっと大きくて高性能です。水の出方を変える機能や、先端の水の出口を回転させて、水をらせん状の動きで出すことができる機能も付いています。水の出し方を調節することによって、火を消すだけでなく、煙やチリを吹き飛ばすこともできるそうです。

放水銃の説明を聞く参加者

下の画像は、人の頭の大きさほどもある刃がついたエンジンカッターの画像です。エンジンカッターは、災害時に開かなくなった金属製の扉などを切ることができます。

ドアを開ける道具としては、エンジンカッターのほかにスプレッダーがあります。この道具はハサミムシのような形状をしており、小さな隙間をこじ開けたり、反対に挟んで潰したりすることができます。交通事故の時につぶれて開かなくなった自動車のドアをこじ開けたりする時に使うそうです。

これらの道具はどちらもとても重く、時には不安定な姿勢で使わなければならないこともあります。救助する隊員も、常に危険と隣り合わせだということを学びました。

円盤状の刃がついたエンジンカッター

応急処置から防災を学ぶ

近年、公共施設や学校、大型の商業施設等でAEDを目にすることが多くなりました。しかし、身近な存在になったとはいえ、すべての方が使い方を知っているわけではありません。AEDの使い方に加え、救急隊が到着するまでに何をしなければならないのかを学ぶことで、より効果的に応急処置をすることができます。今回の活動では救急隊員の方に救急救命法の講習を行っていただきました。

講習ではまず、心肺蘇生法の方法についての映像を見た後、救急隊員の方に実演をしていただき、参加者が一人一人練習をしました。初めは自信がないような様子でしたが、回数を重ねるたびに手順に慣れ、最後には全員で協力しながら演習に参加する姿が見られました。

救急隊員の方によると、心肺蘇生法を行う人は体力を使うので、複数の人で協力することが大切だということでした。

演習後、参加者に感想を聞くと「だんだんやり方が分かってきた」という感想があった一方、「実際に目の前で起こったらパニックなるかも」という声も聞かれました。一度限りの講習ではなかなか内容は身につきません。これからの生活の中で、今回の講習のような経験を積み重ねて技術を身に付け、自信につなげていってほしいと思います。

救急隊員による実演
心臓マッサージをする参加者
協力して応急処置をする参加者

画面上から、通報の様子、心臓マッサージの様子、AEDを使う様子です。

放水訓練

放水訓練では、防火服を着て、ホースの延長・巻取り・接続の練習と放水を行いました。

ホースははじめ、奇麗に巻かれた状態で収納されています。そのホースの端を持って勢いよく引っ張ることで、巻かれていたホースが伸びていきます。消防隊員の方にお手本を見せてもらった時には簡単そうに見えたようですが、実際にやってみると、引っ張る力が多く必要なことと、バランスよく引っ張らないと途中でホースが脇にそれたり倒れたりしてうまく伸びないことに苦戦していました。

ホースを伸ばす時には、前方の安全確認をし、「ホース延長!」という大きな掛け声で周りの人に注意を促します。チームで動くためには合図と安全確認が欠かせません。

ホースを勢いよく伸ばす参加者

伸ばしたホースは2人で協力して巻き取り、元通りにします。

巻き取る作業も簡単そうに見えますが、実はとても難しく、すき間なく巻き取るには練習が必要です。消防隊員になって間もない時には、ホースの巻き取りを何回も練習するそうです。

伸ばしたホースを巻きなおす様子
巻き終わったホース

ホースを伸ばす練習をしたら、次は消防車とホースをつないで放水します。

今回使わせていただいた消防車には約800リットルの水を載せることができますが、消防署の地下には吸水槽があるのでそこから水をくみ上げます。そのため、まずは吸水槽から水をくみ上げるためのホース(「吸管」といいます)を伸ばして吸水し、次に消防車と放水用のホースをつなげます。

放水中は、放水銃を持つ人にとても大きな水圧がかかります。ホースも水圧でパンパンに膨らみ、とても硬く、重くなります。参加者1人が放水している間、他の参加者はホースを支えて補助をしました。

貯水槽から水をくみ上げる様子

貯水槽から水をくみ上げる様子。

放水の様子

勢いよく放水しています。上の写真ではまっすぐに柱のように水が出ていますが、霧状に水を拡散させることもできます。

乙訓唯一の大型はしご車に搭乗

放水訓練の後は、普段は長岡京消防署にある、乙訓で唯一の大型はしご車を使った演習を行いました。このはしご車は、はしごの長さが最長35メートルにもなり、はしごの先端には人が乗れる作業スペース(「バスケット」といいます)が取り付けられています。このバスケットを使い、高所に取り残された人の救助ができるほか、バスケットに取り付けられた放水銃で消火活動もできます。

まずは、救助隊員の方々がはしご車をどのように使って高層ビルに取り残された人を助けるのかを見学しました。はしごの操作は、はしごの根元にある操作台でもバスケットの上でも可能です。この2か所はマイクで連絡できるようになっていて、地上と上空で連携しながら救助活動をすることができます。

見学後は参加者もはしご車に搭乗しました。実際にバスケットに乗り上空35メートルに上がった参加者は、初めて登る高さに目を輝かせていましたが、降りた後には「足の感覚がない」という感想も聞かれました。はしごを伸ばし切ったバスケットは、名神高速道路の高架よりも高く、大山崎消防署内にある鉄塔よりもまだ高いところまで上がりました。上空からは長岡京市や八幡市はもちろん、久御山町、枚方市北部まで見渡すことができました。

当日は晴天に恵まれ、ほぼ無風でしたが、風が強い時には5,6メートルも左右に揺れることがあるそうです。無風であっても足がすくむような高所に上がり、人命の救助や消火活動をされる隊員の方々は本当にすごいというのが、今回参加した人全員の感想ではないでしょうか。

はしご車に乗り込む参加者

はしご車に乗り込む参加者

ゆっくり上昇するバスケット

当日は風がなく、揺れずにまっすぐ上がっていきました。

はしごをすべて展開した様子

伸ばし切ったはしごの長さは、35メートルにもなります。

はしごの上に上がるには、上の写真のようにバスケットに乗って地上から上がっていく方法と、はしごの背後に設置された小型エレベータで上がる方法があります。

小型エレベータを使用すると、はしごを固定したまま地上とバスケットを往復できるので、少人数の救助を行う際などに有効とのことです。

消防車の見学の後は、救助隊員が高いところから降りる時に使うロープの技術を見学し、実践しました。

はしごに設置されたエレベータで上がる様子

緊張した様子でエレベータに乗り込む参加者。

バスケットに向けて上昇するエレベータ

はしごの側面をどんどん上がっていきます。

ロープワークを実践する様子

腰につけたロープと足だけで体を支えています。

今年度から始まった防災体験教室も、今回が3回目。いよいよ次回が最後の活動です。

今年度も残り少ないですが、次回も参加者の皆さんと防災を学べることを楽しみにしています。

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更新日:2017年03月23日